堺の技

昆布

堺の技「昆布」
堺いちでは職人の知恵と経験が生き、匠の技が支える商品を販売しています。

まろやかな昆布と酢の香りが迎えてくれました。シャッシャッシャッと手で昆布を削る音が絶えない作業場。今、細かく削る「とろろ昆布」はほとんどが機械でつくられていますが、薄くて幅が広く、ふんわりと口の中でとろけるような「おぼろ昆布」は、職人が一枚一枚、手で削る以外にはできません。
おぼろ昆布削りは20分ほどで包丁が切れなくなるそう。そのために替え刃を何本も用意しています。職人さんが砥石で研ぎ、刃を付け直す。そのときに「アキタ」という道具を使い、刃先を少し曲げます。自分の手に合う角度に調節していくのが難しく、切れる包丁がつくれて一人前だそうです。
昆布の端を足で押さえ、片手で引っ張り、もう一方の手に持った包丁で削りますが、力の入れ加減で厚さが変わるので、薄く均一にするのが腕のみせどころ。その薄さはなんと0.05mm ! 削る前に手で触った感覚で何回、包丁が入るかがわかるようになるそうです。白い部分、褐色の部分でも味が変わります。白い部分だけを集めたものは太白おぼろと呼ばれる最高級品です。両面を削り、最後に白い芯を残します。これはお寿司のバッテラの上に乗っている薄い昆布用の商品になります。寿司店によってそのサイズの指定があり、いくつもの木の型が掛けられていました。
「最初の頃は手を切ったり、すべって足をケガしたり。でも痛さを知って、どうすれば防げるようにもっていくか。ケガしてなんぼです(笑)」と職人さん。
遥か江戸時代に北海道の昆布が瀬戸内海を経て、堺に到達。大阪という大消費地を控え、加工に必要な刃物の特産地でもあり、堺は昆布加工の一大産地となりました。機械生産が増えましたが、おぼろ昆布は昔と同じ方法で、堺の手が伝統の味を継承し続けています。

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